夫婦円満でいるために心がけた2つのこと(後半)
素敵なパパママのサステナブルな暮らしを紹介する連載「わたしとBare and Boho」。今回お話を伺ったのは3児のパパであり、産後ヘルパー・家事代行サービスや託児サポートを行う「アイナロハ」の代表取締役、渡邊大地さん。
前半では、布おむつ育児の魅力についてたっぷりと語っていただきましたが、後半では夫婦関係をよりよく築く秘訣を教えていただきました。
プロフィール
渡邊大地(わたなべだいち)1980年北海道札幌市出身。2011年に株式会社アイナロハを設立し、2012年より「産後サポート〝ままのわ″」事業をスタート。産院で両親学級を開くなど、活動の場を広げている。著書に『夫婦のミゾが埋まらない』、『赤ちゃんがやってくる!~パパとママになるための準備カンペキBOOK~』、『産後が始まった!』(KADOKAWA)など。プライベートでは14歳になる男の子、11歳・7歳になる女の子のパパ。
ーーー育児や家事に全力で参加しているイメージが強い渡邊さんですが、第一子が誕生した当時は赤ちゃんの写真係担当。積極的に育児には参加していなかったそう。そんな状況が一変したのは、奥様が第二子を妊娠中に入院されたことだったとか。
「妻が第二子を妊娠中に緊急入院してしまい、当時2歳だった長男をみながら家事や育児をすることになって、初めて気付いたんです。“妻は仕事をしながら、こんなにも大変なことを全部やっていたのか!”と。自分ひとりでいざやってみると、しんどかったですね。ワンオペで暮らす中で、これまで当たり前のようにやってもらっていたことへの反省と感謝の気持ちでいっぱいになりました」
毎日書き留めることが自分ごとのきっかけに
「第二子妊娠直後、妻から"今日は大事な話し合いがあります"と言われたことがあるんです。どうやら、1人目の時も辛かったけど、その時は我慢するのが母親と思い込んでいた。でもさすがにもう無理だと思ったようで、"あなたが家事育児をできないのは分かっているから、毎日私の体調と気分を訪ねてください。それだけでいいです"と。
そんな簡単なことならと、妻から聞いたことを書き留めていたんですが1ヶ月くらい経った頃、毎日言う事が違うことに気付いて。毎日違う状況に苛まれているのは辛いな、と。
この時、初めて家事や育児を"自分ごと"としてとらえるようになったんです。それ以来、夕飯やお風呂掃除、洗濯や保育園の送迎と、家事や育児を積極的に行うようになりました」
ーーーとはいえ、夫を嫌な気持ちにさせず、家事や育児を手伝ってもらうのはなかなか難しいもの。
「それがね、うちの妻は上手でして。ある時、〝私の家事で何かやり方が気に入らないことってない?″って聞かれたんですよ。いきなり(笑)。これといってないけれど、強いて言えば、トイレの奥にホコリが溜まっているのが気になるなと。そのことを告げた直後に"じゃあ、私からも1つお願いがあるんだけど……"と言われて家事のダメ出しをされました。
でも、自分が先に言っちゃってる手前、嫌な気持ちにならないんですよ。気持ちよく、家事育児を引き受けることができたんです」
なかでも、楽しかったのは布おむつ育児と保育園の送迎
ーーーおしっこやうんちをするたびに取り替えて、汚れたさらしは洗って、ベランダに干す。そんな手間をかけても、紙おむつではなく、布おむつにしようと思ったのは、環境に優しく経済的だから。
「紙おむつって意外と高いですよね。新生児なんて1日に何枚も替えるから消費も早い。ゴミが山のように溜まっていく。その点、布おむつは一度買ったら洗って何度でも使えるのがいいなと思って。
何より、布おむつの方が紙おむつよりも不快に感じますよね?だからこそ、赤ちゃんは泣いてパパやママにお知らせしてくれます。紙おむつならある程度放置できるところを、布おむつならすぐに替えないといけない。赤ちゃんに寄り添って、声をかけていく、自然と親子のコミュニケーションが成り立つわけです」
それと、僕が好きだったのは保育園の送迎ですね。園からの帰り道って、時間にしたら5分程度なんですけど、その日の出来事を子どもと話す貴重な時間。
そんなおむつ替えと送迎という任務がなくなってしまった今の生きがいは、小学生になった次女の翌日の学校の準備を一緒にすること。算数の問題を出してきたり、学校でどんなことをやったのか、色々話してくれる。今はそれが1番楽しい時間です」
産後一番大切なのはママのメンタル
「産後すぐに元の体調に戻ると思っているお父さんがほとんどですが、実はそうじゃないんです。言葉数が少なくなったり、布団から出られない、ネガティブな発言が多い。そんな兆候はありませんか。このような兆候が見られたら、産後うつを疑ってください。各学会の調査によると産後うつは全体の1割と言われていますが、コロナ禍以降増えていると言われており、あるデータではコロナ前の2倍以上になっている可能性が指摘されています。
うちの妻も3人目が生まれたばかりの頃、攻撃的になりました。最初はイライラしてるだけかな?と思ったんですが、なんだか違う。これはマタニティブルーかな?まさか産後うつかも?と心配になりました。
両親学級をすると"うちは会話が多いから大丈夫"と思っている方が多いんですが、ちゃんと夫婦の時間をとって、じっくり話す時間を週に1回は持って欲しい。妻の体調を気遣うのは、毎日でもいいと思います」
円満の秘訣は週1の夫婦ミーティング
「うちの場合は1人目が生まれて半年くらいに、妻から週に1回1時間でいいから夫婦ミーティングをやろう!と、提案されたんです。正直怒られそうで嫌だなと思っていたのですが、妻にしてみたら、大人と話す機会がない。それもストレスだったみたいで。
毎週日曜の20時から1時間。夏休みの予定や子どもの保険の話など、大切な話をすることもあるんですけど、昔いっしょに行ったレストランだったり、大半はどうでもいい話。でも逆にそれがとても新鮮で、2年ぐらい続いたのかな。妻にとっては、育児や家事のストレス解消にもなるし、週に1度、言いたいことを吐き出すことができる。お互いの心の健康のためにもよかったですね」
ーーー最後に、これから出産を控えているプレママや新米パパママに3児のパパである渡邊さんから夫婦円満のアドバイスを伺いました。
「始めは家事も育児もと、1度にたくさんのことをしようと思わなくても大丈夫。まずは、妻の体調を気遣い、週に1回でいいから〝夫婦だけ″で話す時間を設ける。この2つだけでも想いは伝わると思います。
今、自分の目に映る妻や子どもたちは、温かい表情に満ちているかどうか……。自分自身に問いかける機会があってもよいかもしれませんね」
写真/吉川綾子 構成・文/川口ゆかり
撮影協力/Bare and Bohoアンバサダー、CULAFUL